酒販店で働いていた代表の谷 和(たに あい)さん。クラフトビールの取扱い方が正しく認識されておらず、適温で管理されないまま流通していることを目の当たりに。造り手が思いをこめた商品が消費者に届いてない事に違和感を覚えます。
「状態の良い美味しいビールを届けたい、本当に美味しいビールを正しく伝えて造り手の想いを伝えたい。」自分で体現することが必要とビール専門酒店の立ち上げを決意。
当時はビールだけを取り扱う専門店は無く周囲の反対がありましたが、想いはブレず2012年ボトルショップ兼ビアカフェ『CRAFT BEER BASE』を立ち上げました。国内のクラフトビールが再度盛り上がり始めたタイミングでまだ購入できるお店も少なかったが、徐々に盛り上がりを見せていき、現在では自社店舗も増え、2018年末より自家醸造もしています。
Q.創業当初、周囲の反対もあったとのことですが不安はありませんでしたか
日本地ビール協会のビアジャッジ(ビアテイスターの上位資格)を2006年に取得し、ビールの正しいあり方を学んでいたので、知識と想いを伝えていく自信はありました。
またスタッフもビールが本当に大好きで知識力・官能判断能力の高い者も多く、自社の商品だけでなく他社のビールに関しても美味しさを伝えられる自信があります。
Q.醸造テーマについてはどう考えておられますか?
3つの醸造テーマでビールを正しく伝えていきたいと考えています。
1.基本のビール「定番」をつくる
ビールの魅力は気さくで気兼ねのない身近な存在であること。毎日の生活の中でデイリーに楽しめることが伝統の中でも受け継がれています。私達CBB として、ビールの多様性の面からもおすすめしたいビールを「定番」として提供し続けることにチャレンジすることも大事なテーマと掲げています。
2.ビール本来の構造を分解研究する
世界中には様々なビールが既に存在しています。ビールの歴史を理解しガイドラインを守りつつ、トレンドも融合して新しいものを創造していきたいです。そのためには構造を分解し、醸造を通じて「知る」ことが大切だと考えています。原材料にも向き合いながら多様なビアスタイルを醸造・研究しています。
3.日本独自のビアスタイルを模索する
現在は海外のスタイルのビールが多いですが、日本には日本の生活・食文化に合う独自のビアスタイルがあればいいなと思っています。奇抜なものを造るのでは無く、土地の文化や造り手の表現が活きるビール、地元の方からも長く愛される様なビールを造っていきたいです。
人それぞれ違う「美味しさ」をどのように表現するか、アプローチの仕方は本当に様々あり模索中です。20年位かけて形に出来たら良いなと思っています。
Q.スパイスやハーブ、花を使ったビール造りが特徴的ですね
ホップもハーブですし、元々ハーブ&スパイスを使うビールは古くからある製法です。
日本のクラフトビール業界はまだ花をハーブの一種として取り入れる醸造所は少ないかもしれませんが、ヨーロッパでは伝統的にハーブ類を使ったビールも多いので取り入れています。
お酒としては少し馴染みのない香りかもしれませんが、飲料としてはハーブティをイメージしていただくとわかりやすいと思いますが華やかでとても美味しく通常のビールとは違う切り口が作れると思っています。
Q代表商品「Lavender&Chamomile」について
「Lavender&Chamomile」は苦味の苦手な女性でも楽しんでいただけます。モデルはベルギーの「ベルジャンホワイト」で、飲み心地の良さとふんだんに使用した花の華やかなアロマと優しいフレーヴァーが特徴です。リラックス効果、抗菌効果などもあるハーブを使用していますので仕事終わりに楽しめるビールとして考案しました。
Q.新店舗「MOTHER TREE」の名前の由来はありますか
創業当初からのストーリーが有り、本店は「BASE」の名の通り土台であり基礎、阪神百貨店(和洋酒売り場)にあるお店は多くの人にビールの種を渡せる場所「seed」、駅ビル内にあるビアパブは芽が出る「BUD」、2021年秋にタップルームとしてオープン予定の枝となる「BRANCH」、最後に最終地点「MOTHER TREE」で木になります。
大きな木がある所には文化が誕生する、クラフトビールを文化にする地として拠り所になれる様、根を下ろしていきたいです。
まだまだ自由なクラフトビールの世界。
クラフトビールの素晴らしさをもっと広めていきたいと熱い思いのある「CRAFT BEER BASE」が今後どんなビール文化を造っていくのか楽しみです。
【基本情報】
CRAFT BEER BASE
所在地 大阪府大阪市北区大淀南1丁目2−11(9月10日に移転→大阪市北区大淀中1丁目13-13)
Komentarze