シンプルに、真摯に、誠実に。食べておいしい肉を追い求める神戸の精肉店「NICK(ニック)」から、肉の旨味を最大限に引き出すことだけを考え職人ならではの独自の視点から新たなクラフトジャーキー専門店「NICK JERKY」が2018年10月オープン。原材料は肉と海塩のみ。精肉店のこだわりが詰まった逸品は肉のおいしさが凝縮され、噛めば噛むほどジュワッと舌に肉の旨味が広がり焼いた肉を食べているようなジューシーな味わいに手が止まりません。これまでにない”クラフトジャーキー”を生み出した背景について、代表の錦昭光さんにお話を伺いました。
Q.創業の経緯を教えて下さい
BMXという自転車の競技をしていた頃に国内外の方に神戸を案内する機会が多く、その時に外から見た神戸の魅力を感じ取ることが出来ました。特に外国の方は神戸ビーフへの印象、反応が良く可能性を感じる様になりました。
モツ鍋を扱う通販の仕事を立ち上げ、美味しいホルモンを探す旅に出るようになり、様々な牧場を訪れ原料である肉の追求を行っていくうちに、多くの良質な肉の生産者さんに出会う事が出来ました。今までの精肉店に無い新しいサービスを提供したく、イートインスペースを設けた肉屋「Nick」を構えました。扱うお肉の中で但馬玄(たじまぐろ;契約牧場「上田畜産」で特別な餌で育てられた但馬牛)はとても旨味が強く、そのままでももちろん美味しいのですが旨味をもっと高めたいと思っていきついたのがビーフジャーキーです。
Q.但馬玄の魅力について教えて下さい
お酒で言うと“シングルモルト”のようなイメージです。
契約牧場の上田さんの牛舎では「まず牛ありき」。A5の評価には直接影響しない部分にもコストをかけて、本当に牛の事を考えた環境作りの努力をされています。牛が穏やかに過ごす事が出来、牧場特有の臭いもありません。
上田さんの育て方で育った但馬牛のみが但馬玄と名乗ります。
肉は旨味が強く、脂がギトギトせずにさらっとしています。(但馬玄の脂の融点は低く12・4℃。日本の食卓でこよなく愛されてきたマグロの刺身を彷彿とさせる口溶けがネーミングの由来)
通常の神戸牛は月齢30ヶ月程度ですが、但馬玄は100〜140ヶ月位の経産牛(お産を経た母牛)。経産牛はあまり美味しくないイメージがありますが、上田畜産の牛は全く違います。体内熟成をして旨味の強い状態になり、それはまるで熟成肉の様です。さらにその旨味を凝縮したらどうなるだろうと思ってビーフジャーキーにしました。凝縮された旨味を味わって欲しいです。
Q.NICK JERKYのジャーキーは手に油が残る位しっとりしていて食感が良く、肉の旨味もすごくしますね
20gのパックにしているけれど、実はお肉100g分のものを使用しているんです。肉の魅力を引き出すために厚みと水分量を見極め、最適な温度や湿度等を管理して加熱乾燥しています。
使用する肉は精肉店ならではのフットワークと目利きを生かし、牧場に直接足を運び発掘しています。格付け評価だけでは表せない、本質的に美味しいと思えるお肉を提供したいと思っています。分かりにくいかもしれませんが、食べた瞬間牧場の景色が見える様な。そうして選んだ肉は職人技を駆使して余分な筋や脂をカットし塩漬けにするのですが、塩にもこだわっています。淡路島の職人さんがほぼ手作業で造る天然塩「自凝雫塩(おのころしずくしお)」を使い肉の旨味が引き立つ塩加減に仕上げています。当たり前の様ですが肉の味がするビーフジャーキーを作りたかったので調味液を使用する事は考えませんでした。肉の旨味を引き出すために一番良い方法が塩と肉だけで作ることに繋がりました。
Q.工房に併設しているBARはどの様なコンセプトでしょうか
ガラス張りの工房を見ながら出来たてのジャーキーとクラフトビールを楽しんで頂きたいです。
また様々なカルチャーを体感できるようアート、音楽、フードなどのイベントも行っています。
Q.洗練されたパッケージが特徴的ですが、どの様な想いが込められてるのでしょう?
メインとなるシンボルマークは遙か2万年前にクロマニョン人によって描かれた「洞窟壁画の最高傑作」とされるラスコー洞窟壁画の一場面をモチーフに版画で掘り起こしています。最高傑作のジャーキーを作りたいという想いが込められています。
ビーフジャーキーは海外、特にアメリカの市場が大きいですが「日本人が日本のお肉で作るとこういうクオリティになる」と発信したく、和を基調としたデザインのパッケージになっています。
Q.今後バリエーションを増やす等の展開予定はありますか?
現在神戸牛、但馬玄、神戸ポーク、鹿肉、福岡県南部の奥八女猪のラインナップがあるのですが、現在は種類を増やす事はあまり考えていませんが、日本全国には良いお肉が沢山有るので、生産者の方との信頼関係が築けたらその地域が展開していく為のお手伝いが出来たら良いなと思います。ジャーキーが有る事で地域の活性化に貢献出来たら嬉しいですし、日本酒とも味や流通の親和性があるのでそういう所と連携して手土産としても喜ばれる商品にしていけたらと想います。
肉の魅力を探求し続け、肉の旨味を最大限に活かすためにクラフトジャーキーに辿りついた錦さん。精肉もジャーキー造りも独学で進んできたからこそ、既存の枠に囚われず「本物の美味しさ」を追求出来たといいます。肉の美味しさがギュッと凝縮された味わい深いジャーキーを、是非ビールや日本酒と一緒に味わってみてください。
【基本情報】
NICKJERKY
URL:https://jerky.jp/products/#nickjerky
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