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お酒は呑むだけでは無い?遊び心も大切にする宝山酒造

更新日:2021年8月27日



宝山酒造は明治18年創業。新潟市西蒲区、新潟の人々にとっては馴染みの深い弥彦山脈を連ねる一角、多宝山の麓に醸造所を構えました。この土地は極めて上質な湧き水に恵まれていることから「宝の山」の愛称でも親しまれ、その名に因んで銘酒「宝山」が生まれました。梨のような上品で爽やかな香りが特徴のお酒です。

昔は冬季のみ酒蔵で働く「通いの杜氏」が酒造りを統括し、蔵元というのは経営にまわることが多かったのですが、現在は蔵元が経営と製造責任者である杜氏の両方を担っている酒蔵が増えてきています。今回お話を伺った渡邉桂太さんは次期五代目蔵元、そして渡邉さんの代から杜氏として酒造りも担っています。


杜氏就任後、すぐに「TAKARAYAMA」シリーズをリリースし、食用米を使った酒のラインアップを増やしていきました。先代から始まった食用米の使用は、酒蔵見学に来たお客さんの「新潟の美味しいお米を使ったお酒はどんな味になるのかな」という素朴な一言がきっかけでした。


2018年に使い始めた「新之助」は新潟県がコシヒカリを超える米として10年もの歳月をかけて開発した新種で、冷めても美味しくあっさりとした食べ口が特徴です。粘り気の少なさが酒造りに適しており、最近発売が開始された季節限定酒「宝山 花火ラベル」にも使用されています。看板猫と花火が夏らしいデザインのこちらの商品、穏やかで果実のような香りと旨味ある味わい、低アルコール原酒で夏酒らしいスッキリとした後味に仕上がっています。

米作りに関しては農家さんに口出しをせず一任しており、食べて美味しい米作りをお願いしています。


30年以上続けている酒蔵見学は、コロナ禍以前には年間1万6千人ものお客様が全国から見学に来ており、実際に見てもらうことで日本酒を身近に感じてもらえたり、生の声を聞くことで酒造りに活かせています。酒造りの時期は蔵見学を休止する酒蔵も多い中、通年で受け入れしています。


説明を担当するのは名物女将の渡邉由紀子さん。ご自身はお酒は飲めず、酒造りについてもあえて勉強しすぎない様にしているそう。飲み手と同じ視点で、分かりやすい説明を心がけています。華奢な女将が法被を羽織り、大勢を前にマイクでお話される姿はさながら観光ガイドのよう。場数を踏んだ女将だからこその柔軟さで、参加者からの質問にも受け答えします。


意外にも渡邉家では酒を多くは飲めない方がご家族に多い事から、少量で買いやすい「ひと飲み酒(200ml)」が生まれました。

シンプルなデザインの瓶は実はドレッシングからの着想。お土産にも丁度良いサイズで、少しずつ色んなお酒を飲み比べる事が出来るのでギフト需要もあります。また女将が日本酒を化粧水がわりに肌につけているという話を蔵見学の最後にするようになり、化粧水としての評判も高まっています。おすすめは醸造用アルコールなどが添加されておらず低刺激の純米酒。お手頃価格なのも魅力です。



昨年からお米を10%しか削らない90%の低精米酒として、酒造りの途中の工程でもある“酒母(しゅぼ)”の段階で搾ってしまう、通称『酒母搾り』という珍しい製法の取り組みを開始。

酒母をそのまま絞った濾液は甘酸っぱくて甘酒とはまた別の美味しさ、お米のジュースの様で渡邉さん自身が大好きで商品化したかったものです。

そうして作られた「宝山 NOBLE 」は米が麹の力で糖化された自然で優しい甘さ、しっかりとした酸を出すことによって味わいのバランスがとられており、品の良く爽やかな甘酸っぱさに仕上がっています。来期以降はより味わいの幅を広げるために、毎年前年のお酒を仕込みに使って貴醸酒にする予定で、10年間かけて完成を目指します。

“NOBLE”とは“貴族”の意味で、ネーミングも毎年階級が上がっていくのが面白いところ、昨年は「NIGHT(騎士)」今年は10月1日に「BARONET(男爵)」を発売予定、10年目の最後は「EMPEROR(皇帝)」の予定です。

こうした蔵とお客さんが長年かけて一緒に楽しめるような取り組みも含め、宝山酒造から感じるのはおもてなしの心。一口飲む時に、造り手の笑顔が浮かぶことも酒を美味しくさせるのではないでしょうか。


【基本情報】

宝山酒造株式会社


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