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小倉に伝わる隠れ名物/百年床宇佐美商店


北九州の台所・旦過市場で「百年床」の看板が大きく目を引く宇佐美商店。

1946年に創業して以来、名物の「ぬか炊き」を作り続けています。ぬか炊きとは北九州のご当地グルメのこと。サバやイワシなどの青魚を醤油・砂糖・みりん等でじっくり煮込みます。その後青魚と一緒に加えて炊き上げるものが「ぬか炊き」です。ぬか床はビタミンやミネラルが含まれており、栄養分が豊富な食べ物。これを加えることで、魚の臭みが抜けぬか床の旨味がじわ~っと広がっていきます。宇佐美商店のぬか床は約100年間ずっと継ぎ足されているそう。現在はぬか炊きに親しみを持ってもらうために、缶詰の開発や各種オンラインサイトでの販売に取り組んでいます。『百年床のぬか炊き缶』は開けてみると一口サイズの鯖の切り身がぎっしり入っています。口に入れるとほろっと崩れ、甘めの味漬けがじんわり広がります。一段目を食べるとその下にもう一段。食べたことはなくてもほっこり懐かしい味です。



百年床宇佐美商店代表の宇佐美雄介さんに、ぬか炊きの魅力や想いを伺いました。


Q 宇佐美さんはIT企業で10年間勤務されていたそうですが、宇佐美商店を継ぐことになった経緯を教えてください。


私は元々教育に関心があり、教育関連のIT会社で働いていました。

宇佐美商店は私の祖父母のお店で、長男の父親が継がなかったためか、私も継ぎたいと思ってはいませんでした。でも首都圏で生活していた中で、ぬか炊きの知名度が低いことに気が付いたんです。私はキャリア教育にも関心が高かったため、若い世代にもいろんな生き方ができることを伝えたい、そのために自分自身が教材になってみようと思い、北九州に上京する決意をしました。


Q 宇佐美さんが考えるぬか炊きの魅力を教えてください。


知名度がまだ足りないからこそ、伸びしろのある食べ物だと思います。また、お店を継ぐと決め

1から勉強してから、ぬか炊きは食べ合わせが良いことを実感しています。日本人が間違いなく好きな醤油・砂糖・みりん等の調味料を使っていますからね。ご飯は勿論、お酒にもピッタリですよ。

ぬか炊きを作る際の味の決め手になるのがぬか床です。ぬか漬けの「ぬか」は洗い落としてしまうことが一般的です。でも、ぬか炊きは加熱されているため、ぬかもそのまま味わえますね。




Q 缶詰開発はどのようなきっかけで始まったのですか?苦労はありましたか?


「北九州市の名物料理って何?」と聞かれても、思い浮かばなかったことがきっかけです。当社では、ぬか炊きを真空パックにして販売していたこともあるんです。それは冷蔵で1ヶ月の保存期間を持っていました。でも、お土産屋さんからすると、冷蔵1ヶ月の保存は短い期間だということだったんです。

では、常温のまま保存することはできないか?と考えた結果、缶詰を開発することになりました。業界では誰も着手しておらず、インパクトもあると思ったからです。缶詰開発にあたり、京都のカンブライトという会社と協力し1年以上の試行錯誤を重ねました。例えば、水分や具材の量を調節するなど。その結果、夢が実現し、今では贈り物として手に取っていただく機会も増えました。


Q 缶詰のパッケージデザインに込められた思いや反響を教えてください。


今までのぬか炊きへのイメージを変えたいと思い、地元で活躍するデザイナーにデザインをお願いしました。贈答品として、気軽に手に取っていただけるようなイメージを込めています。また、おおむね若い世代からの反響も良かったです!




宇佐美商店が構える旦過市場には他にも北九州の名物がずらり。ここは飲食店の方が仕入れのために利用したり、地元の人々も足繁く買い物に来ます。現在は宇佐美社長をはじめ旦過市場の若者たちで「お取り寄せセット」を製造、Youtubeで発信しているそう。このような取り組みは遠方で暮らす私の元にもエネルギーが伝わってくるほど。ぬか炊きはそんな市場を古くから支える一品です。市場を訪れた際には絶対に外せませんね!


【基本情報】

百年床宇佐美商店

URL:https://www.百年床.com/


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